- 他の作品の脚本を書いていた時に、なぜか次々と思いついて、並行して書き起こしておいたんだ。初めは、これらの話をどうすればいいかわからなかったけれど、4、5話できたところで、同じDNA、同じテーマを持つものだと気付いた。曲で言うなら、1枚のアルバムに納めるべきだってね。構想に1年、準備に9カ月、撮影は12週間かかったよ。
- 商業的にも芸術的にも、こうした形式の映画が成功した例がないのが問題だったと言えるかな。映画業界の人たちは、この手の作品で観客は呼べないと思っているから、その中で自信を持ち続けることはなかなか困難だった。でも、偉大なプロデューサーに素晴らしいキャストとスタッフたちが、僕の脚本を信じてくれたことが力になった。
- 人生において、制御しきれないほどの怒りの衝動に襲われる瞬間は何度かある。でも、逮捕されたり死んだりしたくなければ、自分自身を抑えなくてはならない。喧嘩したくてもできないときもあるんだ。だけど、抑制していることの代償も大きい。もちろん生きていた方がいいけれど、あれを言えばよかった、こうすればよかったと過去を思い悩むことになる。それが映画の中だったら、制御する必要なんてないだろう。だから、この作品で最後の最後まで突き進んでみようと思ったんだ。そしたら、観客は大いに笑ってくれた。許せないことに反抗し、我慢できない怒りを解放する楽しさや欲求を共有してくれたんだね。
- ものすごいことだよ。子供の頃から、アカデミー賞®の発表をずっと見てきたからね。誰かを倒すために映画を作るんじゃなくて、自分のやりたいことをやった上で、結果的に同じ賞を争うことになる。これはとてつもない名誉だし、ラッキーだったとも感じている。僕が大好きな映画ベスト10のうち、9本はアメリカ映画だ。そんな作品を作った尊敬する人たちが、僕をノミネートしてくれたなんて誇りに思うよ。
- 書いた順番だよ。それを守ろうとしたわけじゃなく、他の順番も考えたんだけれど、最終的にこれがベストだと思った。カンヌ国際映画祭での反応にも手ごたえがあったから、このままでいいと確信したんだ。発展性があるし、人生で関わった人々を道連れに実家に飛行機で突っ込むというインパクトは1話目にしか考えられない。結婚式のエピソードは、主人公たちが劇的に変化する。そんな話は、最終話しかあり得ないからね。
- ペドロとアグスティンは、2005年に僕が作った映画『Tiempo de valientes』を観て、とても気に入ってくれたんだ。K&S Filmsのプロデューサーの紹介で、アグスティンがアルゼンチンに来た時に一緒にディナーに行き、僕が次にどんなものを作ろうとしているのかを聞いて、プロデュースしたいと言ってくれた。K&S Filmsでこのプロジェクトを立ち上げることが決まって、ペドロとアグスティンに脚本を送った。彼らはすぐにプロデューサーとして参加すると決めてくれたよ。
ペドロは、アーティストにとって最も大切なことは自由だと信じている。だから、彼がプロデューサーになる時には、その作品の監督のために最高の環境を作ってくれるんだ。「脚本は素晴らしかった。一つのコンマすら変えずに作るんだ。君以上にこの話をよく撮れる人なんていないんだから、君はやるべきことをやるんだ」と言ってくれた。さらに彼は世界的に有名なアーティストなのに、この作品がカンヌ国際映画祭に出品されることになった時、先頭に立って大使のような役割も果たしてくれた。カンヌでもたくさんの取材を受けてくれたよ。ペドロとアグスティンは、この作品の偉大なるゴッドファーザーなんだ。